EmDashを利用した自社サイトリニューアル

プロジェクトの概要

本コーポレートサイト(kirinsan.inc)は、Cloudflare社が2026年4月に発表したばかりの次世代CMS「 EmDash(エムダッシュ) 」で構築・運用しています。EmDashはリリース直後であり、商用サイトへの採用は国内でも極めて珍しい事例です。

リニューアル以前は、WordPressをベースにしたサイトをヘッドレス化し、フロントエンドはAstro、Next.jsなどでの試作を経て、最終的にNuxt.jsで静的サイト生成(SSG)する方向で開発を進めておりましたが、今年4月のEmDashの発表と同時に方針を転換いたしました。

EmDashは、WordPressの精神的後継を自称するCMSで、WordPressが抱えるプラグインのセキュリティリスクや、サーバーレス時代を意識した設計などが特徴です。

結果として、表示速度・セキュリティ・管理のしやすさのすべてで旧サイトを大きく上回るサイトを実現。この構成は今後の弊社Web制作における新しいスタンダードとして位置づけており、同様の課題をお持ちのお客様にもご提案できる体制を整えています。

課題解決と実装のポイント

Cloudflareネイティブな基盤でJamstackの課題を解決

「外部ヘッドレスCMS+フロントエンド・フレームワーク」という構成は強力な反面、システム分断による管理コストの増加や外部API通信による表示遅延がネックになりがちです。EmDashはCloudflareのエッジネットワーク上で直接稼働するため、こうした課題を構造的に解消。データベースに Cloudflare D1、メディアストレージに Cloudflare R2 を採用し、すべてがCloudflareインフラ上で完結する堅牢な構成を実現しています。

Astro採用による高速表示とSEO最適化

フロントエンドにはEmDashのベースでもある Astro を採用。不要なJavaScriptを排除する「アイランド・アーキテクチャ」により、Lighthouseスコアで大幅な改善を達成しました。表示速度の向上はユーザーの離脱率低減とSEO改善に直結します。フロントエンドにはEmDashのベースでもある Astro を採用。不要なJavaScriptを排除する「アイランド・アーキテクチャ」により、Lighthouseスコアで大幅な改善を達成しました。表示速度の向上はユーザーの離脱率低減とSEO改善に直結します。

複数のWebfont読み込みやリッチコンテンツからPerformance項目の減点要因はあるものの、体感速度は当然ながら、LighthouseのローカルテストでPerformance値がピーク時90を超えるなど、極めて良好なベンチマークスコアを記録しています。

Performance99, Accessibility100, BestPractice 100, SEO 100
2026-05-22地点の本記事のスコア

技術スタックと選定背景

世界中どこからでも快適に閲覧できるインフラ網と、開発・運用のしやすさを両立するため、エッジコンピューティングを前提とした最先端のスタックを選定しています。

  • EmDash CMS
    Cloudflare Workers上で動作する、オープンソースのフルスタック・サーバーレスCMS。フロントエンドからコンテンツ管理画面までをAstroベースで一体化した設計で、特定ベンダーへの依存がないクリーンなコンテンツ管理を実現。プラグインは独立したサンドボックス環境で実行され、宣言した権限以外の操作を構造的に排除するセキュアな設計が特徴。
  • Cloudflare Workers
    Cloudflareが提供するサーバーレスのコード実行環境。従来のサーバーレス(AWS Lambdaなど)が特定リージョンで処理するのとは異なり、世界200都市以上に展開されたエッジネットワーク上でコードが直接実行されるため、世界中どこからアクセスしても低遅延なレスポンスを実現する。コールドスタートも発生しない設計で、本サイトではEmDash CMSの実行基盤として中核を担っている。
  • Cloudflare Zaraz
    サードパーティ製のタグ・スクリプト(アナリティクスや広告ピクセルなど)を、ブラウザではなくCloudflareのサーバー側で処理するタグ管理サービス。従来のGoogleタグマネージャーのようにブラウザ上で多数のスクリプトを実行する方式と異なり、サードパーティとの通信をエッジ側で肩代わりすることで、表示速度の低下やプライバシーリスクを抑えながら必要なツールを導入できる。
  • Cloudflare D1 / R2
    Cloudflareのエッジネットワーク上で動作するSQLiteベースのデータベース(D1)と、グローバル配信に対応したオブジェクトストレージ(R2)。高速なコンテンツ読み出しと大容量メディアの低コスト配信を担う。なお、D1への書き込みはリージョン単位での処理となるため、大規模サイトへの適用時はKVキャッシュとの併用など、適切なチューニングが必要になる場合がある。
  • Astro (SSR)
    EmDash自体のベースフレームワークでもあるAstroを、フロントエンドのレンダリング層として活用。静的HTML生成とサーバーサイドレンダリング(SSR)を組み合わせた「アイランド・アーキテクチャ」により、不要なJavaScriptを排除して高速なページ表示を実現する。EmDashのデータ取得APIとネイティブに統合されているため、外部APIを別途用意することなくシームレスなコンテンツ配信が可能。